日本の「円」が安いから海外から大勢の観光客が訪れている。7月の月間外国人旅行者数は過去最高を記録し329万人にも及ぶという。(日本政府観光局調べ)日本が魅力的だから、というのは置いておいて、まぁ円が安いからお得だもんな。日本で消費するの。
外国人観光客だけではない、高級マンションやリゾート地など、多くの外国人が日本の資産を買いまくっている。外国に比べインフレ率が低く、記録的な円安だからそりゃーもうバーゲンセールだ。私がインバウンド企業の社長か、輸出企業の社長ならウハウハだろうと思う。相対的に安いものを売るわけだから儲けやすいわけだ。
でも、残念ながら私は内需企業のCEOだ。ITは仕入れた米国の知財を加工して国内消費者に販売するのが仕事だ。OSであれ、ハードであれ、アプリであれ、基本は米国から仕入れないといけない。建設業も同じだ、様々な建築資材の多くは外国から仕入れしないといけない。円安は値上げに直結するし、値上げは売上ダウンに直結する。内需企業は円安環境では儲けにくいということだ。
でもまぁ、欧米の経済が悪化するよりましかな。中国が未曾有の不況に陥っているいま、欧米の経済が躓くと値上げ、値下げとかいうレベルじゃなく世界経済全体が、どよーんってなっちゃうしなぁ…。
ということで金利の動向がすごく大事なんです。基本的には国と国の金利差で通貨は上がり下がりしますから。
で、今後の金利を占う上で注目だったのが先週金曜日の8月23日です。日米の金利を決める人たちの談話が同じタイミングで発表されました。この日、日銀の上田総裁は「金利は追加利上げの方針」と国会で答弁し、米国FRBパウエル議長は「利下げの時がきた」とジャクソンホール会議で発表しました。
長くなるので詳細は割愛しますが、すっごく荒々しく二人のメッセージを解釈すると意味はこうなります。「米国は景気後退期に入りました」「日本の円安は終わります」「金利差がなくなるので世界経済の流れは変わります」ということです。おっ、内需企業のCEOはひょっとしたらラッキーなのか?
金利差の流れを先読みしたのかな。先週は代表的な訪日外国人銘柄の三越伊勢丹ホールディングスなどの百貨店株なども大きく値を下げていた。長期的にはわからないけれど、短期的には円安で利益が出ていた企業はちょっと辛くなると思う。利益が出なくなった企業はお金を使わなくなるから内需も冷える。うーん、内需企業のCEOも結局はラッキーじゃない気がするぞ…。
あれだな、企業も個人も結局は世の中の流れとかトレンドに流されない足腰を作った人が強いんだろうな。景気がどうであれ世間がどうであれ、この企業の商品が必要、この人の能力が必要、って人々に思っていただけるようなそんな存在になっていかないとね。
一筆啓上いたします。
「円ではなく、縁の価値を高めよう」
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