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2025/03/10

技術先行の落とし穴:建設現場で学んだニーズとシーズのバランス

「写真はスカウターをつけてベジータの気分を味わっているところです」

「写真はスカウターをつけてベジータの気分を味わっているところです」

新技術に飛びついて失敗する理由

新しい技術を見つけるとワクワクしますよね。「この技術を使ったら、こんなことができるんじゃない?」というアイデアが一気に膨らみ、ついニーズ調査もせずに商品開発に突っ走ってしまいます。

当然ですが、売れません。こうした失敗を私は何度も繰り返してきました(笑)。このように生産者の視点から商品を開発する方法を「シーズ」と呼びます。一方、消費者の求めているものを開発する方法が「ニーズ」です。

先進技術「スカウター型ウェアラブル端末」

先日、スカウター型のウェアラブル端末メーカーさんが商品のデモに来てくださいました。この商品は本当によくできていて、ハンズフリーでボイスコマンドだけで操作できます。

スカウターを通じてテレビ会議の相手を見ることができ、自分が見ている視点をそのまま相手にも共有できます。建設現場などで注目される「遠隔臨場」が可能になります。

PC画面を通じて現場の人に「テレビのHDMI端子を見せてください」「椅子の後ろのバーコードを見せてください」と指示が出せます。

理想的なシーズだがニーズを満たさない現実

しかし実際に試してみると、ウェアラブル端末を装着した人がロボットのようにぎこちない歩き方をしていました。装置を外した後の彼の顔色も良くありません。

自分自身でも試してみると、理由がわかりました。右目の前わずか5cmのところに映像があり、左目には通常の風景が広がっています。そのため脳が混乱し、上手く歩けないだけでなく、装置を外した後には気分が悪くなります。

商品としての「シーズ」は完璧です。ストレスなく動作し、遠隔臨場端末として必要な機能は全て揃っています。しかし、工事現場で実際に使用すると危険な状態になる可能性があります。つまり、「ニーズ」を満たしていないのです。

ニーズを満たすシーズであるべき

若い皆さんにぜひ覚えておいて欲しいのは、「シーズ」はあくまでも「ニーズ」を満たすためにあるということです。ビジネスで成功するには、「やりたいこと」よりも「求められていること」を考える力が不可欠です。

一筆啓上いたします。

「今日は誰の困り事を見つけましたか?」

 

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野口 高志
15歳で実家が倒産。20歳で竹箒を投げられた現場監督。
27歳で起業、46歳で倒産・破産。48歳で仲間とガレージ再出発。
55歳の今、建設テックCEOと創業120年の老舗建設CDOの二刀流で再挑戦中。

【現在の役割】
▪️建設テックベンチャー「ダックビル」|代表取締役CEO
(売上5億円 / 25名 / 資本金6,000万円 / 創業10年)

▪️大規模修繕工事大手「建装工業」|執行役員CDO
(売上620億円 / 850名 / 資本金3億円 / 創業120年の老舗)

高い自己資本比率(ダックビル65%・建装工業60%)を背景に、
「大企業とベンチャー」「伝統と未来」をつなぐ挑戦を続けています。

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